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2017年4月26日 08:18:51

東京大学高齢社会総合研究機構 機構長 大方潤一郎氏 ~超高齢化社会に対応したまちづくりを目指して~

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今後、2030年までには、日本中のあらゆる地域で、健康自立寿命を延ばし、また、心身が弱ってきても、物的・空間的支援環境とミニマムな人的ケアに支えられて、寿命の尽きるまで、できるだけ自立的に、自宅や住み慣れた地域社会の中で暮らし続けられるような、居住環境を整える必要があります。

 

 現在、近江八幡市が進めている安寧のまちづくりプロジェクトは、主に東京・大阪その他の大都市圏から、それまでの職を離れた人が近江八幡に移住して、永年の夢をかなえ、多様な世代と交流しつつ、新しい人生を楽しみながら、生涯暮らし続けられるような、近江八幡ならではの「まち」を、地域住民、市民、世界中の支援者とともにつくる、プロジェクトです。

 よって、このプロジェクトは、単なる老人福祉施設やサービス付き高齢者住宅をつくるというものではなく、貧困と施設不足のため、東京圏で暮らせなくなった要介護寸前の高齢者を受け入れる住宅や高齢者施設をつくるわけでもありません。

 

 近江八幡市の安寧のまちづくりプロジェクトは、これからの新しい日本の「超高齢社会対応のまちづくり」を先導するモデルとなり得るものであり、この開発をテコにして、近江八幡市全体の居住環境を超高齢社会に適合したものに、つくりかえていくこと(=リモデリングすること)がその真の目的なのです。

 

 そのために、このプロジェクトを実現する上で必要となるポイントは下記が考えられます。

①最低限の利便性を確保しつつ、東京大都市圏では味わえない魅力的な生活ができること

②心身が多少弱ってきても自立的に暮らし続けられる、終の棲家になること

③仕事や趣味を含め「きょういく・きょうよう(今日行くところ、今日の用事)」が得られること

④地域の既存コミュニティになじめること

⑤年金でまかなえる生活費であること

 

 近江八幡市が超高齢化社会に対応するモデル地域となる上で必要なことについて皆さんもぜひ考えてみてください。このプロジェクトが地域内外の多様な人々がまちづくりの議論に参加できる貴重な機会になるのではないかと思っています。 

 

【プロフィール】

大方潤一郎(おおかた・じゅんいちろう)

東京大学高齢社会総合研究機構 機構長。1954年神奈川県川崎市生まれ。東京大学都市工学科の学部・大学院(博士課程)を卒業後、同助手、横浜国大助手・講師・助教授(工学部建築学科)を経て1996年・東京大学都市工学科助教授、99年から同教授。2003年度からは、21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」のサブリーダーとして持続可能な都市地域空間の形成手法を探求。2009 年度からは、高齢社会総合研究機構(IOG)のメンバーとして、超高齢社会の住まい・まちづくりの研究に注力。2011年3.11以降は、岩手県大槌町等 での仮設まちづくりの支援、被災地の復興を通じた新たなコミュニティの形成に奮闘中。2013年4月から現機構長を兼務。