近江八幡市にある西の湖は、滋賀県内最大の内湖で、古くはあの織田信長がつくった安土城も、その西の湖のすぐそばにありました。

　今年度、近江八幡市が主催して「西の湖エコロジーハイキング」が3回実施されます。これは、西の湖の豊かな自然、生きもの、そして風景に出会い、体感する機会をもうけ、人びとが西の湖の周りを歩いて回る際のマップを作成しようというものです。

　第1回となる今回は、北之庄にあるヴォーリズの森から円山町、白王町をとおり、西の湖の中にある島状の田んぼ「権座」（ごんざ）に舟で渡ってきました。この記事ではその様子をご紹介します。

西の湖にある舟でしか行けない田んぼ「権座」に上陸してきた！

　みなさんは、“西の湖の中にある島状の田んぼ”と聞いて、パッとイメージができますか？

　上の写真を見ていただくとわかりやすいと思います。写真の真ん中辺り、緑におおわれた農地が権座です。そして、その手前に舟３艘をつらねて、刈り取ったお米をいれた袋をたくさん積んでいるのが、権座で米づくりをされている地元農家のご家族の姿です。

　そうなんです。地元で昔から権座と呼ばれる田んぼでは、今なお米づくりが行われていて、農家の方は舟に乗らないと権座に行けないんです！？

　下の写真は、今回の西の湖エコロジーハイキングで寄らせていただいた白王町自治会館（鳰の湖会館）に掲示されていた古い航空写真です。かつては、権座のほかにも舟でしか行けない田んぼが７つもあったんだそうです。

 

語り部・大西實さんは権座で米づくりをつづけておられます

　今回、西の湖エコロジーハイキングの参加者やスタッフを舟に乗せて、権座に連れて行ってくださったのが大西實（おおにし・みのる）さんです。若いころから父親から受け継いだ権座で米づくりを続けておられます。また、たいへん明るく、馬力のある方で、権座・水郷を守り育てる会の事務局長もされており、地元白王町、また島学区のまちづくりのリーダーのひとりでもあります。

　かつてヨシ原だったところに、先人たちが石を運び周囲に石垣を築き、そこに西の湖の中の藻や土砂をかき揚げて田んぼとして開拓してこられたお話や、地域の仲間とともに権座水郷コンサートを開催され８５０人もの来場者を集めたお話、幻の酒米「渡船」の栽培を始められ、心ある酒蔵との出会いもあり、純米吟醸酒「権座」が誕生したお話などを数々のエピソードを交えて語っていただきました。

 

蛇砂川から西の湖園地、円山町、長命寺川、白王町を通るルート

　今年度、3回実施する西の湖エコロジーハイキングは、環境カウンセラーで造園家の河合嗣生（かわい・つぐお）さんにガイド役をしていただき、３つのコースを歩きます。

　今回は、北之庄沢の前にあるヴォーリズの森（ヴォーリズ学園北之庄校地内）のまなびの小屋からスタートし、ヨシ地が広がる蛇砂川の横を通り、西の湖園地に抜け、さらに田園風景の間を歩き、円山町の集落から長命寺川を横切り白王町へ。鳰の湖会館（自治会館）でトイレ休憩をさせていただき、船着き場から舟に乗せてもらい権座に渡りました（片道約2.7kmを30人で75分程で歩きました）。

　権座では、ちょうどお昼時ということもあり、地元白王町産のお米を羽釜と時計型ストーブと薪で炊飯し、おいしくいただくことができました。

参加者からも

・天気がいい中、ゆっくり歩けて楽しかったです

・生き物などたくさん見れた

・湖の中にある田んぼ“権座”の事を近くに住んでいたのに知らなかったので、初めて権座に行けて良かった

・権座は、石を運んでつくったと聞いて感動した

・お釜のご飯最高

・初めて出会った方と何人かお話できて楽しかったです

などと言ったご感想をいただくことができました。

 

なお、次回、第2回は、8月5日（土）の夕方スタートで、安土にてツバメのねぐら入りコースを歩きます。くわしくは、以下のリンク先にてご確認ください。

 

（開催情報）

西の湖エコロジーハイキングの開催について

https://www.city.omihachiman.lg.jp/soshiki/kikaku/sdgs/25345.html