西の湖エコロジーハイキング

2023年10月27日 15:08:41

【レポート】10/15 西の湖エコロジーハイキング(第3回)を開催しました!

 近江八幡市にある西の湖とその一帯は、国の重要文化的景観の第1号に選定されるなど、古くから人間と自然が共生し、織りなしてきた営みをいまに受け継いでいます。
 今年度、近江八幡市が主催して実施している「西の湖エコロジーハイキング」の第3回が10月の休日に円山町にて実施されました。
 円山のヨシは、ほかの産地では得られない美しいヨシ材として知られ、京都などの古い町家の軒に使われるヨシズの高級材料として重宝され、古くからヨシ産業が栄えてきました。
 今回は、葭嘉西川嘉右衛門商店の西川嘉武さんにご協力いただき、河合嗣生さんのコーディネートでヨシ工芸体験を行うとともに、円山町一帯を散策しました。

“大神ヨシ”とよばれた円山のヨシの美しさを体験しました

(写真)円山のヨシをつかったヨシ工芸体験作業の様子

 円山のヨシ地は、およそ10軒のヨシ屋によって、それぞれにヨシ刈りやヨシ焼きを一緒に行う地域の家々とともに、古くから維持・管理され、高級ヨシ材として、地域内外に出荷されてきたと言います。
 今回は、そんな高級ヨシ材の茎の皮をはがし、長さを測り、裁断をして、ヨシズ編みをするための加工作業から体験させてもらうことができました。
 実際に、ヨシの皮をはがしてみると、その下から現れてくるヨシの白さ、ツヤはとても美しく、古くから“大神ヨシ”と呼ばれ、京都などの町家の高級建築材として重宝されたという話をリアルに体感することができました。

(写真)お話をうかがった葭嘉西川嘉右衛門商店の西川嘉武さん(第18代目)

 この日は、秋晴れの天気のもと、西川さんの敷地をお借りして、気持ちよくヨシズ編みをすることができました。

ヨシ葺き屋根ののこる清見寺から眺めみる水郷の景観

(写真)ヨシ葺き屋根がのこる清見寺(円山町内)

 ヨシ工芸体験がおわった後は、円山町一帯を散策して回りました。
 円山町は、いまでこそ、自動車が走れる道路が整備されていますが、かつては、円山の集落の各家の目の前まで西の湖が広がっていて、各家に1艘の田舟があり、移動には田舟を利用したと言います。また、集落の背後には円山の山塊があり、その斜面に立地する清見寺は、ヨシ葺き屋根が残り、円山でとれたヨシ材で立派な屋根が葺きあげられていました。

(写真)集落のすぐそこまで西の湖の水郷が広がり観光和船が行き交います

ヨシ地は人間と自然が共生した暮らしの象徴

(写真)秋晴れのもと開催されました

 今回、コーディネーターをしてくださった河合嗣生さん(環境カウンセラー、造園家)は、ふだんから西の湖一帯の四季をめぐって自然・生きもの観察会を主宰されています。河合さんいわく「西の湖の周りにはさまざまな生きものが集まってくるが、それは、西の湖にヨシ地があり、西川さんをはじめ地元の方々が、ヨシ刈りやヨシ焼きなど自然と共生した営みを続けてきてくれたからこそだ」とおっしゃいます。

(写真)コーディネーターの河合嗣生さん

 また、最後に、西川さんからも「西の湖のヨシ地が、末永く、後世に残っていってほしい」という願いを込めたお言葉をうかがうことができました。地球規模での環境危機が言われて久しくなりますが、私たちが暮らす近江八幡市において、足元にある西の湖のヨシ地で古くから人間と自然が共生してきた営みにあらためて目を向け、そこから学ぶことで、持続可能な地域づくりのヒントが得られるのではないでしょうか。

(写真)ヨシ工芸作業と地域散策の様子

参加された方々からも、

・子どものころに、近所の大人たちがヨシズ編みをしていたのを見ていたので、一度、自分でもヨシズ編みをしてみたいと思っていた。なかなか、自分一人ではやることが叶わなかったのが、今日、こうしてヨシズ編みをみなさんと一緒にできて、うれしかった。

・これまでも観察会などで円山を歩いたことがあったが、今日は、西川さんのお話をうかがいながら、かつて道路が整備されていなかったころの通路を知れたり、いろんな発見があり、これまでにない視点から円山の地域について知ることができて勉強になった。

などと言った感想が寄せられました。

 なお、この後、これまでの西の湖エコロジーハイキングでの経験をもとに、皆さんが西の湖の周りを歩いて回る際に参考となるマップを作成する予定です(令和6年3月公開予定)。

(開催情報)
西の湖エコロジーハイキングの開催について
https://www.city.omihachiman.lg.jp/soshiki/kikaku/sdgs/25345.html

(画像)西の湖エコロジーハイキングチラシより